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【エッセイ】舞台役者と僕の夢

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「やってみればいいじゃん」

 

当たり前かのようにさらっと言われた

 

その日、私はとある飲み屋に来ていた

 

 

一時期は毎週のように行き、常連と呼ばれるまでになっていたが、最近足先が遠のいてしばらく顔を出してなかった

 

しかし、何かイベント事があると連絡が入るので、せっかくならと重い腰を上げて久しぶりに伺ってみた

 

 

 

決して綺麗とは言えない、むしろ小汚い10人も入ればパンパンになる小さい飲み屋さん

 

この雰囲気が逆に居心地が良かった

 

 

そこではその場であった人と話をして、「また会いましょう」と言って特に連絡先も交換せず席を後にする

 

そんな暗黙の了解があった

 

 

1,2時間、初めてあった人と会話をし見ず知らずの人だからこそ、お酒が入ってるからこそ話せる話をたくさんする

 

そして多分会うことはほとんどないのだけれども「また会いましょう」と言って店を出る

 

友人なんてのはおろか、知人とも言えない人と飲む時間それがまた居心地いい

 

 

 

そんな飲み屋に通っていると、自然と顔見知りになる人も出てくる

 

私が行ったその日も顔見知りの人がいた

 

その人は舞台役者をしており、会社員という縛られた世界とは離れた生活をしている

 

 

私は20中ばのただのサラリーマン

 

最近は「このままでいいのか?」

「今のままいて後悔しないのか?」

と、自然と自分の人生についてぼんやり考えるようになっていた

 

 

その日もそんな話をしていると「やりたいことはないの?」と聞かれた

 

 

もちろんある

 

富士山に登ってみたいし、バックパッカーになって世界中を旅をしてみたい

カメラや絵の勉強もしたい

 

あげるときりがない

 

 

しかし今聞かれているのは

「人生をどうやって過ごしたいか」

 

である

 

 

小さい頃はサラリーマンになんかなるもんか!と息巻いていた

自分が主人公だと思い込み、自分が主役の人生を思い描いてきた

 

それはプロ野球選手になって活躍してる姿かもしれないし、アーティストになってみんなの前で歌ってる姿かもしれない

 

とにかく自分は主人公だった

 

 

しかし蓋を開けてみると、とりあえず進学校に行きなんとなく大学に入学

 

何を学んだかわからないが、とりあえず楽しかった大学生活を送り流れるように就職

 

自分がなりたくなかったサラリーマンになって早3年が経とうとしている

 

早い。早すぎる。

 

自分は主人公なんかじゃない

作品には登場するが名前も与えられないモブキャラだということを思い知り、今の生活を受け入れようとしているところに、

 

「夢は何?」

 

と聞かれた

 

なれるものなら主人公になりたい

多分心のどこかでは今でもそう思っているのだろう

 

 

返事に詰まっていると畳み掛けるようにこう言われた

 

「なんかあるんでしょ?おれにはなんでそれに挑戦しないのかがわからないんだよね。

やればいいじゃん」

 

 

よく聞く言葉だ

やらない後悔よりやる後悔だし、やってみなきゃわからない

 

しかし、例えば会社が忙しくて時間が取れなかったり、一緒にやる人がいない、と色々な事情がある

 

そんなことがふと頭によぎった時に思った

 

「あれ?なんで自分で諦めてるんだろう。勝手に理由を作り、勝手に無理って決めつけてるだけじゃん」

 

と。

 

 

自分自身で考えてみた

「やってみたい!」と言っている人に対して私は「やってみたらいいじゃん」と返す

 

それに対して「でも…」って言葉で遮ってくると「何で勝手に諦めてるの?決めつけるの早くない?」と私は思う

 

しかしその遮りを今自分はしようとしていた

何かにつけて理由を見つけ、逃げ道を作ろうとしていた

 

 

 

 

勝手に決めつけるのは悪いことだが、サラリーマンの中にはこういう人は結構いると思っている

 

やりたいことはある。なりたいものはある。

だけど私は〜。と言って逃げ道を作る

 

もちろん自分が一番当てはまる

むしろ自分のことを言っているくらいである

 

 

そんな自分のことは棚に上げて言ってみる

 

「やってみたらいいじゃん!」

 

もちろんそれで食べていけるかは別の問題である

なんなら全てを投げ出して挑戦しろとも言わない

 

きちんと現実的に考え、リスクヘッジしながらでもやれることはやれるはず

 

 

ほら、ここまで人に言えるならわかってる証拠だ

 

自分だってやれるってことを。

 

 

 

 

 

 舞台役者はそれ以上のことは言わなかった

 

むしろ「人には人の物差しがあるからね。自分の感覚だけで喋っちゃダメだよね」

とフォローしてくれた

 

 

こういうやりとりがあるから人と話すのは面白い

 

たわいもない雑談をしばらくして、店を後にした

 

 

 

 

 

帰り道は雪がぱらついていた

朝方というのに、寒さが頭の回転を早くする

 

 

「いつまで言い訳してるの?とりあえずやってみればいいじゃん!」

 

冴えきった頭の中で、誰かを諭すかのように言葉が木霊する

 

 

確かにそうだ

そろそろ棚に上げた自分を下ろそう

 

主人公がいつまでも休んでては、物語が始まらない

 

 

 

おしまい